投球障害肩
投球障害肩とは、野球を中心とした投球動作において痛みや動かしにくさなどの機能障害を生じ、投球が困難になる状態のことを言います。
不良な投球動作を繰り返し行うことで肩の痛みが生じ、投球時に障害がでたり、進行すると投球が困難になります。
原因・病態
投球障害肩の原因は様々で、小児期に生じるリトルリーガーズショルダーから成人期ではインピンジメント症候群や関節唇損傷、ベネット病変、腱板損傷などがあり、それぞれの病態が混ざり合って症状を出すこともあります。
投球障害肩に共通する原因として、不良な投球動作があります。投球動作は下肢、体幹、上肢が協調動作する複雑な全身運動ですので、股関節や体幹の柔軟性低下や筋力低下などが原因となっている場合もあります。
投球動作はワインドアップ期、アーリーコッキング期、レイトコッキング期、アクセラレーション期、フォロースルー期から構成されます。
投球障害肩の治療していくためにはどのフェーズで痛みが生じるかを明確にし、投球動作の問題点を見つけることが重要です。
症状
日常生活では痛みを感じることはまれで、支障がないことも多く、見かけ上は肩の可動域制限はありません。
しかし、投球のたびに肩関節痛があり、痛みを感じたまま投球を継続すると重症化し、投球動作ができない、手を挙げたりひねったりすると痛い、など徐々に日常生活に支障が出てくることがあります。
診断・治療
診断は入念な診察と投球動作のチェック、レントゲンやCT、MRIを用いた画像診断を駆使して行います。
その上で、痛みの原因となっている病態を把握し、それに対する治療を行います。
不良な投球動作の改善で治癒が望める場合は、投球指導やリハビリテーションを行います。
痛みが強い場合は、痛み止めの内服や外用薬(湿布や塗り薬)、肩関節注射を行います。また、症状によっては投球制限や投球の中止を指示いたします。
投球障害肩の中には手術でしか治せない病態もあるため、その場合には手術治療を行います。
手術は連携先の病院で院長自ら執刀いたします。