足底腱膜炎
原因
足底腱膜は足底にある強力な膜で足のアーチを保持しています。足底腱膜の踵骨付着部には、強い牽引力(引っ張る力)とともに着地時の荷重による衝撃(圧迫力)の両方の強い負荷がかかります。長時間の立ち仕事や歩行、靴の不適合、スポーツ(ランニングやジャンプなど)により過度の負荷がかかることや、足の筋力低下や体重増加などが原因と言われています。そのような、縦アーチを崩す、伸ばすような負荷が繰り返しかかることで、足底腱膜の踵骨付着部にストレスが集中して微小外傷(小さな傷)や変性が起きて痛みが生じます。
症状
朝起きて最初の1歩目を踏み出した時に踵に痛みを感じます。同様に、長い時間の休憩の後の歩きはじめにも踵が痛みます。痛みは歩いているうちに徐々に和らいできますが、夕方になって歩く量が増えてくると、再び痛みが強くなってきます。
同様の症状がスポーツ活動の際にもみられます。ランニングの開始時に痛みを感じ、運動を続けるうちに徐々に和らぎ、長距離を走ると再び痛みが強くなります。スポーツ選手では、運動量の増加やトレーニング内容の変更を契機として発症することがあります。
診断
足底腱膜の付着部である踵の内側に著明な圧痛を認める以外は臨床症状に乏しく、腫脹·発赤·熱感などの炎症症状はほとんど見られません。
そのため、症状と診察所見を総合して診断を行います。
·足底腱膜が踵の骨に付着する部位に圧痛(押さえた時の痛み)がある。
·歩きはじめ及び長時間の歩行·走行時のいずれかに、足底腱膜の付着部周囲に痛みがでる。
上記症状が認められた場合、足底腱膜炎の可能性が高いと考えられます。
また、レントゲンで骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨のトゲがみられることもあります。
治療
治療は保存的治療が標準的で、ほとんどの症例が治癒します。
放っておいても、2−3ヶ月で自然に良くなっていくことが多いですが、治療を介入することで治療期間の短縮や、再発予防につながります。
アキレス腱や足底腱膜のストレッチを行い、靴やインソールを工夫することで痛みが軽減します。また、痛みが強い場合は消炎鎮痛剤の内服や外用薬(湿布や塗り薬)を用います。それでも症状が良くならない場合や、痛みが非常に強いときには局所注射を行うこともあります。